「キュプラって光沢のある生地だよね?」と思った方が多いはず。キュプラは主にスーツやジャケット・コートの裏地に使われていますが、最近では女性のブラウスのもこのキュプラを使ったものが多くなりました。
普段は身近に感じない素材で「化繊素材だから手入れは簡単」「洗濯も普通にできる」と思っているのなら、ちょっと待ってください。
実はこのキュプラはウールやカシミヤ以上に洗濯が難しく厄介な素材。キュプラの特徴をしっかりつかんでいないと、洗濯した後に「着れなくなった!」なんてトラブルにもなることがあります。
ここでは「キュプラとはどんな繊維か」「洗濯方法はどうすればいいのか」「どれくらいの頻度で洗濯をするのか」「洗濯に必要なもの」「洗濯する時の注意点」「洗濯方法」「洗濯後又は日常的なケア」「キュプラにおすすめの洗剤」の順に詳しく紹介します。
手持ちのキュプラ素材の衣類をいつまでも美しいままに着用するために、じっくりと最後まで読んで参考にしてください。
目次
キュプラの特徴
キュプラは旭化成の商標で「ベンベルグ」と呼ばれる光沢のある繊維です。主に裏地として使われることが多かったのですが、その美しい光沢性や耐久性・吸湿性が高いことから婦人ブラウスにもシルクを混紡にしたりして使われるようになりました。
上品でなめらかな質感
原料は「綿花くず」で再生繊維なことからも環境に優しい素材であることがあげられます。シルクのような艶やかな光沢を持っていて肌触りも非常になめらかで高級感があります。
ひんやりした質感で吸湿性にすぐれていますので、夏のスーツやジャケットの裏地として使われることが多いです。合成繊維よるも割高になるので、高級ブランドスーツの裏地によく見られます。
ドレープ性がありシワになりにくい
高級感のある光沢だけでなく、ドレープ性があり滑りがいいことから「ブラウス」の素材としても非常に便利な繊維です。静電気も起こりにくいので、上着の裏地としても優秀で「スーツやジャケットが着やすくなる」メリットもあります。
キュプラとポリエステル何が違う?

同じ光沢のある素材には「ポリエステル」があり、見た目には非常に良く似ていますが石油を原料としているために安価で使いやすい特徴があります。
ポリエステルは「ザラつき」がありますので、滑りが悪いのですがシワになりにくいメリットもあります。このことからも秋冬のスーツの裏地や安価なスーツの裏地によく使われます。
スーツやジャケットの裏地に柄の入ったものは、キュプラとポリエステルを混紡にしたものになります。デザイン性を重視する場合には、発色しやすいポリエステルを混ぜた方がキュプラ100%よりも良いからです。キュプラは水に弱いことから、混ぜることで汗に強くしたりシワになりにくくするための方法でもあります。
キュプラの洗濯は?手洗いはできる?
シルクのような光沢があり摩擦にも強いことからも、裏地だけでなくブラウスやシャツにも使われるようになりました。多くは綿や絹との混紡繊維ですが、キュプラそのものが水に弱い繊維なことからも洗濯表示には「水洗い不可」となっているものが多いです。
短時間で洗うのであれば手洗いもできます
キュプラが何%含まれているのか、特殊加工によって縮みにくい加工をしてある場合には洗濯表示に「水洗い可」のマークがあります。多くは「水洗い不可」ですが、手持ちの衣類の洗濯表示に「水洗い可」のマークがあれば自宅で手洗いすることはできますので確認しましょう。
キュプラそのものが水に弱いことから「短時間」で洗濯することが大切。それだけでなく摩擦によって毛玉もできやすいので、洗濯機は絶対に使わないでください。洗濯機でのんびり洗ってしまうと間違いなく縮んでしまいますので注意してください。
キュプラの洗濯頻度
スーツやジャケットにキュプラが使われているものは「クリーニング表示」になってるていますのでクリーニングが必要です。ブラウスやシャツがキュプラの場合、スーツよりも洗濯頻度は少々高くなります。
においや汗ジミなども気になりますので、最低でも2~3回程度の着用で洗濯するのが良いでしょう。
キュプラの洗濯に必要なもの
ウォッシャブル加工がされていて「水洗い・手洗い可」の衣類は、おしゃれ着洗いと同じ要領で洗濯をします。
- おしゃれ着用中性洗剤
- 柔軟剤
- 洗面器
- 洗濯ネット
- バスタオル
おしゃれ着用中性洗剤
メリノウールやカシミヤなどの獣毛繊維も水に弱いので手早く洗濯しますが、キュプラはそれ以上に手早い洗濯が必要です。おしゃれ着用中性洗剤と柔軟剤を使ってもよいのですが、できれば柔軟剤入りのものが好ましいです。
洗濯ネット
洗濯ネットは洗濯と脱水で洗濯機を使うときに使用します。キュプラ素材の衣類を畳んで入る目の細かいものを用意してください。
キュプラ洗濯の注意点
水洗いができるキュプラ製品でも、デリケートな素材ですので手早く洗濯することが重要です。また水温にも注意し、縮みが起きないようにしましょう。
短時間で洗濯する
ウォッシャブルタイプでも水に弱いことには変わりはありませんので、3分程度に脱水までを終わらせること。繊維同士をこすったり、長時間水につけないように注意してください。シミや汚れがある場合、自分で処理せずにクリーニング店でお願いするのが妥当です。
お湯で洗濯しない
水洗いの基本でもある水の温度は30℃以下。夏場で水温が高くなっている時には十分に注意してください。ぬるま湯を使うと汚れは落ちやすくなりますが、キュプラが縮んでしまいますのでやめてください。
シミは無理に落とさないこと
食べこぼしだけでなく、汗ジミや雨によるシミなどキュプラ素材は水溶性のシミができやすいものです。特に汗ジミができてしまうと目立ちますので、通常の染み抜きをやってしまいますが「水洗いできない」ものは絶対に染み抜きしないこと。
水洗い可能なものは、台所用の中性洗剤を使って手早くシミを落とすこともできますが、トラブルにも繋がりますので無理に染み抜きをしない方が無難です。特に「漂白剤」を使うと繊維が傷んでしまい風合いが損ねられてしまいますので、水洗い可能でもクリーニングにお任せしてできるだけ早く染み抜きをお願いしましょう。
キュプラを自宅で洗濯をしてみましょう
水洗い表示があることを確認したら、必要なものを用意して洗濯を始めます。こすったり強く繊維を押したりせずに軽く振るようにして汚れを落とすようにしていきます。
手順1:洗面器に水を張っておしゃれ着用中性洗剤を溶かします
水の量に合わせて洗剤を入れたら、かき混ぜて良く溶かしてください。漂白剤や重曹などの「漂白効果のあるもの」は絶対に使わないこと。
手順2:畳んで入れたらサッと洗濯液につけます
軽く液に浸すようにしたら、左右に振るようににして汚れを落とします。上手くいかない場合には軽く押して30秒ほど、押し洗いをしましょう。
手順3:一度脱水をします
水分をできるだけ取り去るために、一度脱水を行います。洗濯機なら10秒、バスタオルで軽く水を切ってもかまいません。
手順4:すすぎ・脱水
洗面器に綺麗な水を入れてすすぎを行います。すすぎは2回程度で洗った時と同じ要領で行ってください。すすいだら洗濯機で10秒脱水し、柔軟剤を使うのであればこのあろ柔軟剤を使います。
柔軟剤につけるのも10秒程度にして、洗濯機で脱水し洗濯ネットから取り出したら形を整えてバスタオルで水分をさらに切っていきます。
手順5:ハンガーを使って陰干しする
ブラウスやシャツはハンガーにかけて再度シワをのばしたら、風通しのよい日陰で乾かします。
キュプラのシワを伸ばして完成させましょう
水に弱くシワになりにくいことからも、洗濯したあとはシワを伸ばしても戻り切っていません。また着用したあともシワになりやすいので、アイロンを使ったメンテナンスが必要です。
シワをしっかり伸ばして、元の美しいドレープ性や光沢を取り戻すためにも正しいアイロンがけを覚えておきましょう。
1:アイロンは低温から中温(120℃)のドライ
アイロンは、必ず「ドライ」で直接繊維に触れないようにガーゼやタオルを当て布にして使います。シワが酷い時には、半乾きの状態でかけると伸ばしやすくなります。
2:コートなどの裏地は裏返してかけましょう
コートやジャケットの裏地にキュプラが使われていると、何度か着用することでシワになっていきます。見えないところとは言っても、外出先でコートを脱いだら裏地がしわくちゃなのは見た目にきれいではありませんし、お洒落に気を使っていないようにも思われてしまいます。
一度裏返しにして、裏地にアイロンをかけやすいようにアイロン台などを用意します。当て布をしたら、アイロンをかける場所より遠くを少しひっぱり縦にアイロンをかけていきます。
袖などの掛けにくい部分は、新聞紙などを丸めて袖に入れてアイロン台の代わりにすると上手くアイロンがかけられます。専用の台があるようでしたらそちらを使ってください。
3:アイロンをかけたらハンガーで熱を取ります
アイロンをかけた衣類は、ハンガーにかけて熱を取ってから収納します。シーツなどは、軽く畳んで熱がなくなったら衣装ケースなどに保管すれば大丈夫です。
シワ伸ばしと聞くと「スチームの方が効く」ように思いますが、水に弱いキュプラがせっかく乾いたのにスチームで水分を与えてしまうと縮んでしまいます。シワを伸ばすように軽く引っ張りながらアイロンをかけると、細かいシワも伸びやすくなりますので試してみてください。
キュプラの洗濯におすすめの洗剤
水洗い可能なキュプラはおしゃれ着用中性洗剤をつかえば家庭で洗濯できますが、洗剤によっては「泡立ちは良いのだけれど泡切れが悪い」など短時間で洗濯する場合には使いにくさを感じてしまうものもあります。
洗剤の量を加減する方法もありますが「洗濯するのが不安」「キュプラなどの特殊繊維を安心して洗える洗剤を使いたい」方のために、特にデリケートな素材におすすめの洗剤を紹介します。
THE LAUNDRESS(ザ・ランドレス) デリケートウォッシュ
デニム・カシミヤなど、素材別の洗剤があることでも有名なアメリカの洗剤。特にデリケートなレースやシルクなどの洗濯におすすめの洗剤で、フレグランスをまとったような女性らしい香りが特徴です。柔軟剤もありますので、セットで使うのもおすすめです。
デュランスDurance ランドリーソープ
防ダニ効果のある洗剤で、天然アロマの香りが女性に人気のフランスの洗剤です。香料はできる限りデュランス社の畑で有機栽培したものをメインとして、その他も厳選したものだけを使うというフランスらしさを感じます。
天然成分による防ダニ効果があるのが特徴で、香りもフランス「プロヴァンス地方」にいるかのような錯覚を起こしてしまう自然な香り。男性の衣類にも使いやすい香りを含め4種類から選べます。
おしゃれ着洗剤を使って洗濯しよう!おすすめのおしゃれ着洗剤ベスト10選
洗濯できないキュプラのお手入れ方法
「水洗い不可」マークのついたキュプラは、自宅では洗濯することができません。トップス衣料はクリーニングに出せば簡単ですが、アウターやスーツ・ジャケットの裏地の場合頻繁というわけにはいきません。
普段のお手入れ
クリーニングに頻繁に出せないものは、おしゃれ着用中性洗剤を水に溶かしたものでタオルを濡らして軽く拭きとっておきます。
脇などの汗が気になった時には、軽く叩くようにして拭いておけば臭いも気にならなくなります。3回程度着用したら、軽く拭きとっておけば清潔な状態で着用できます。
汚れが目立たないけれど、食事のニオイがついてしまうと気になりますので「消臭スプレー」を使うこともあるでしょう。消臭スプレーも水には違いないので、キュプラのように水に弱い繊維にスプレーしてしまうとシミになってしまうことがあります。どうしても使いたい時には、一度ブラシをかけて汚れを落とした後に液剤を目立たない場所に綿棒で少しつけて変色しまいかを確認しましょう。
まとめ
キュプラ素材は高価なものですので、使われた衣類も高額な商品が多くなります。混紡素材で水洗いできるものは、自宅での洗濯も可能ですのでチャレンジしてもいいでしょう。できれば、最初はクリーニングを利用し何年か着用したものは自宅で洗濯してみるのも方法です。
高価な衣類がシワになったり、色あせや縮んだりするのは不安であればクリーニングを利用しましょう。日常的なケアをしていれば、繊細な繊維も長持ちさせることができますので適切な洗濯でいつまでも美しいままをキープしてください。
コメントを残す