着物などの高級衣料に使われる絹(シルク)は取り扱いが難しく、洗濯も難しいイメージがあります。
靴下やストッキング・ランジェリーにも使われることが多いので、女性には馴染みのある繊維ですが「自分で洗濯するのは気を使う」「汚れがついたらと思うと手が出しにくい」と感じている方もいるのではないでしょうか。
そんな心配をしている方のために、ここでは「絹(シルク)の特徴」「どんな衣類に絹(シルク)が使われているのか」「家庭で洗濯できるのか」「洗濯するときの注意点やポイント」「洗濯方法にアイロンを使ってシワを伸ばしていいのか」「絹(シルク)ぼ洗濯におすすめの洗剤」を順に紹介します。
クリーニングに出さずに自分で洗濯できないかな?と悩んでいる方は最後まで読んで参考にしてください。
目次
絹(シルク)の特徴
絹(シルク)は高級素材であることから、格調高い装いにふさわしい衣料品という印象が強いのではないでしょうか。見た目に高級感があり美しいだけでなく、健康効果があることから身近な靴下や下着、ランジェリーにも絹(シルク)が使われるようになりました。
肌に優しいタンパク質繊維
蚕(カイコ)の繭から作られる天然繊維で、その成分は、アラニン・グリシン・チロシンなど肌の成分に近い約20種のアミノ酸が含まれるタンパク質です。このことからも、直接肌に触れてもかゆくなったり肌荒れすることがなく、化粧品のようにしっとりさせるパワーがあります。
冷え取り効果と保温性
絹(シルク)は繊維と繊維の間に空気を含む微細な多孔質構造繊維で、保温効果が抜群に高いことがわかっています。冷え性の女性にとって「薄くて軽い」絹(シルク)は、ボディラインに響かないので洋服に重ねても着ぶくれしないメリットがあります。
また染色の発色も良いので、お洒落なアイテムとして使うことで「冷えから守りながらおしゃれができる」うってつけの繊維です。
綿を超える吸放湿性
吸湿性の高い繊維といれば綿(コットン)ですが、汗が引くと冷たくなってしまうので大量の汗をかいた時には不向きです。この絹(シルク)は、汗をかいても瞬時にサラサラになるのでべたつきがなく蒸れません。綿のようなひんやり感もないので、ランジェリーはもちろんですがインナーにも向いています。
汗をかきやすく臭いが気になる足元も絹(シルク)なら安心。雑菌の繁殖を抑えて消臭効果もあり蒸れも軽減できるのでストッキングやタイツのインナーカバーにも使われています。
蚕には紫外線から身を守る機能があるために、繊維となっても肌の大敵であるUV-B波(UVB)・UV-C波(UVC)を吸収して紫外線をカットしてくれます。紫外線カット率は90%前後と、美容と健康の面からも期待されている繊維です。
身近にある絹(シルク)の衣類

有名なのは正絹と呼ばれる着物が代表的な衣類です。この他にも「肌に触れることが多い衣類」に絹(シルク)を使うことが多く、知らずのうちに絹(シルク)を身に着けている方も多いようです。
- シャツやブラウス
- スカーフやストール
- 靴下
- ネクタイ
- ハンカチ
- インナーやランジェリー
- パジャマ
女性のアクセサリー小物はもちろんですが、男性のネクタイはシルクがメイン。アウトドアインナーも保温性の高さから絹(シルク)が使われています。
そしてランジェリーやパジャマなど、肌に触れる面積が大きなもので体を包み込むものやリラックス感のあるパジャマも絹(シルク)です。
絹(シルク)は家庭で洗濯できる?

様々な衣類に使われるようになった絹(シルク)は繊細な繊維ですので、洗濯機では洗うことはできません。インナーや靴下などの身近なものも、ブラウスやランジェリーなどは「水洗いマーク」はついていますがすべてが「手洗いマーク」です。中には「水洗い不可」のクリーニングマークのみがついている衣類も多いので、ますは洗濯表示を確認しましょう。
洗濯機では絶対に洗わないこと
インナーや靴下などのこまめな洗濯が必要なものは、水洗いできるように絹(シルク)以外の繊維を混ぜたり特殊な加工で縮みにくくしています。高級ブランド衣料の場合には、絹(シルク)の光沢やドレープ感を損なわないために加工せずにつくられているものもあります。水洗い可のものでも、特に繊細な絹(シルク)は洗濯機で洗うことでトラブルになりやすいのでやめましょう。
水洗い可のものは手洗いで
シルクの衣類には「水洗い可」マークがついている洋服も少なくありませんが、これを他のおしゃれ着感覚で洗ってしまうと、シワができたり縮みが起きたりとトラブルが起こる可能性が高くなります。
水に弱い繊維というだけでなく、引っ張りや洗剤にも反応して弱くなりますので手洗いするにしても細心の注意が必要です。
絹(シルク)の洗濯で注意することや洗い方のポイント
綿混紡などで使われることも多い絹(シルク)ですが、繊細で傷つきやすい繊細ですのでいくつかの注意点があります。いつものおしゃれ着洗いよりも気を配って洗濯をやってみましょう。
- 中性洗剤を使う(もしくは専用洗剤)
- 30℃以下の水を使う
- 水洗いは手早く終わらせる
- 洗濯機は絶対に使わない
- 脱水は自然に任せること
- 乾燥機は使わない
- 日光に当てずに乾かすこと
- 色落ちテストは慎重に
短時間で洗い上げます
おしゃれ着用の中性洗剤を使い30℃以下の水を使うのは水洗いの基本、乾燥機を使わないのもデリケートな素材を守るためには守りたいことです。一番注意したいのは、「洗濯時間」と「脱水」です。そもそもシルクは水に弱い繊維ですので、水洗い可能な商品でも短時間で洗い上げるようにしましょう。
色落ちのチェック
色柄物のシルク衣類を洗濯する場合、洗剤による「色落ち」に注意しましょう。まずは洗濯前に水で薄めた洗剤を綿棒につけて、目立たない場所にトントンたたきましょう。綿棒に色が移ったり、色抜けしていないかを必ず確認しましょう。
洗濯前に汚れやシミのチェックを行いますが、シルクの場合には「できてすぐのシミ」や「汗の汚れ」などの落としやすいものだけを家庭で落すようにします。おしゃれ着用の中性洗剤を水で伸ばしたら、色落ちチェックをし問題がなければ部分的に5分ほどつけて引き揚げます。あとは洗剤が付いた部分をさっとすすいで終了です。これで落ちないものは、漂白剤などを使わずにクリーニングに出して落としてもらいましょう。
絹(シルク)の洗濯頻度は?
衣類の場合、気になるのは洗濯頻度です。靴下やハンカチ、ランジェリーやインナーなど肌に直接触れているものは毎日の洗濯が必要になります。パジャマやブラウス・シャツなどは、3日に1回程度の頻度で洗濯すれば良いでしょう。
冬は汗もかきにくいので、洗濯頻度を見直しても良いですし「汚れが気になったら・汚れがついてしまったら」洗濯すると考えておいてください。
絹(シルク)の洗濯に必要なもの
自宅で洗濯をするのであれば、必要なものをざっと揃えておきます。特に変わったものを揃える必要はありませんし、身近にあるもので気楽に洗濯できます。
用意するもの
- おしゃれ着用洗剤又はシルク専用洗剤
- 柔軟剤
- 洗面器
- バスタオル
絹(シルク)は繊細で、ちょっと生地を強く引っ張るだけでも傷んでしまいます。洗浄力の強い洗剤を使うと、たちどころに繊維を傷めてしまいますので必ずおしゃれ着用洗剤を使いましょう。
市販のおしゃれ着用の中性洗剤だけでなく「シルク専用」や「カシミヤ・シルクなどの繊細な繊維専用」の洗剤もありますので、香りや泡立ちなどで選んでみても良いでしょう。
おしゃれ着用洗剤は洗浄力が少し弱いですが、シルクにつく汚れ程度なら問題なく洗い上げますので安心です。
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絹(シルク)の洗濯方法
手洗いというと「押し洗い」がメインですが、シルクのような繊細な生地は負担が少ない「振り洗い」をおすすめします。軽く振るだけでちゃんと汚れも落ちますので、手ばやく洗濯して干すようにしましょう。
1:洗面器に洗濯液をつくる
洗面器に30℃以下の水を張ったら、洗剤を入れてしっかりと溶かしておきます。
2:洗濯液に入れたら振り洗いで汚れを落とします
生地の端を軽く持ったら左右に優しく揺らします。うまく揺らせない場合には、そっと水に浸すように押して離すを3回行います。
3:バスタオルに乗せて脱水する
洗濯ネットに入れて洗濯機の脱水をする方法もありますが、生地の傷みを考えるとおすすめしません。どうしても洗濯機の脱水を使うのであれば、必ず洗濯ネットに入れて10秒で取り出します。この手間を考えれば、バスタオルの上に広げで水を軽く切った方が安心です。
4:すすぎをします
洗面器に綺麗な水を張ったら泡がなくなるまで手早く振り洗い又は押し洗いします。完全に泡がなくなったら干します。
5:脱水から乾燥まで
洗濯機の脱水をするなら洗濯ネットに入れて10秒、その他はバスタオルの上にのせて形を整え挟んでおけば水が切れますのであとはハンガーにかけて日陰で干していきましょう。
洗濯する時には、汚れが気になる面を外側にして入れると汚れが落ちやすくなります。洗剤ですが生地が薄くサッと洗い終わるので時間もかかりません。大切な衣類は自分で守る気持ちで洗濯しましょう。
絹(シルク)にシワができてしまった時の対処法
洗濯後はハンガーにかけるだけでシワが伸びるので無理にアイロンをかけたりする必要はありませんが、着用後にシワがよってしまった場合にはアイロンを使いたいもの。温度や使いかたに注意すれば、生地を傷めることなくシワがキレイにできますが、それ以外でもシワを伸ばすことはできるのです。
アイロンでシワ伸ばし
アイロンがけは可能ですが、デリケートな素材ですから温度設定には十分注意し、短時間で終わらせるようにします。
温度は低温
シワはできやすいですが、軽く当てるだけで簡単にシワを伸ばすことはできますので温度は低温で十分です。できるだけ温度は低く設定することが重要ですので、中温よりにせずに真ん中程度にして使いましょう。
ドライアイロンにする
シワ伸ばしにはスチームが有効ですが、シルク生地のように水に弱いものはドライアイロンを使うのがポイント。濡れた状態でのドライは生地を傷めますので注意してください。
あて布は必要
アイロンは衣類に直接触れないように、ハンカチやガーゼを当て布にしてアイロンをかけましょう。この当て布がクッションになることで傷みから予防することができます。
アイロン以外でシワを伸ばしてみる
シワができないようにするのはなかなか難しいものですが、日常的なお手入れでシワを伸ばしておけばアイロンを頻繁に使うこともなく衣類を守ことができます。スカーフやブラウス、パジャマなどの頻繁に洗濯しないようなものに試してみましょう。
軽く霧吹きを使ってシワ伸ばし
ほんの小さなシワは霧吹きをかけて手の平で伸ばし、そのままハンガーで干しておきます。風通しの良い日陰で吊り干しすれば、キレイにシワが伸びますので無理にアイロンをかけなくても平気です。
風呂につるす
入浴後のお風呂場には蒸気がたっぷりとありますので、それを使わないのはもったいない!蒸気が充満したお風呂に突っ張り棒を使って吊り干しにすれば、水分を含み簡単にシワが伸びます。蒸気を含んでしっとりしたら、陰干しで自然乾燥するだけすから手間もかかりません。
霧吹きして吊り干し
軽いシワであれば霧吹きで軽く水をふくませ、そのまま干しておくだけでも十分です。風通しのいい日陰で吊り干しにしておけば1日ほどでシワがすっかりなくなりますよ。
低温で当て布を使っても、シルクには負担をかけてしまいます。時間がない時にはアイロンを使いシワを伸ばしても良いのですが、こまめにかけることは繊維を傷めることになりますので避けること。
絹(シルク)の洗濯におすすめの洗剤
ドラッグストアなどで購入できるおしゃれ着用中性洗剤で洗濯できますが、どうせなら専用の洗剤を使ってデリケートな絹(シルク)をいつまで美しい状態にキープしてみましょう。
ソネット ナチュラルウォッシュリキッド ウール・シルク用 センシティブ(おしゃれ着用液体洗剤 無香料)
天然成分100%のオーガニック洗剤で、オリーブ油を使っていますので艶も同時に蘇ります。無香料ですから、赤ちゃんの衣類や下着の洗濯にもおすすめです。
無香料なので、柔軟剤を使っても臭いが混ざりません。植物成分のみを使用していなすのでメリノウールだけでなくシルクや赤ちゃんの肌着にもおすすめです。
シルクランドリー
美しい光沢をキープしながら洗濯することができる「シルク専用洗剤」のシルクランドリーですが、キュプラやレーヨンなどの生地も洗濯可能。泡立ちが抜群に良いだけでなく、泡切れも早いので水に弱い繊維の洗濯に向いています。環境にも優しく、ランジェリーから衣類・着物まで幅広く使えるので1本あると便利です。
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まとめ
デリケートな絹(シルク)の洗濯をクリーニングに任せっぱなしにしていた方も、ちょっと気をつけておけば自宅で洗濯することができます。時間もかかりませんし、丁寧に洗うことを心がけて大切な衣類を守りましょう。絹(シルク)の洗濯ができるようになれば、他のおしゃれ着にも応用ができるようになり洗濯が楽しくなりますよ。
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